すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 抑えきれない感情で、とうとう涙目になってしまって、慌てて2人に背中を向けると、「だって……私の気持ちが追いついてないんだもん。仕方ないじゃない」と、言ってはいけない一言をこぼしてしまっていた。


 そのセリフに、楓(かえで)が私のすぐ横に来てポンと肩を叩くと、小声で「素直になれ」ってささやいて、
「ごめーん! 私、用事思い出したからちょっと離れるね。あとは2人で話し合って」
 と手を振って立ち去ってしまう。

「ちょっ、楓、待っ――」

 今この状態で置いて行かれたら、私、困る!

 そう思って、慌てて楓の後を追おうとしたら、
「鳴宮(なるみや)。今の、どう言う意味だよ?」
 って、柳川(やながわ)に手を掴まれた。

 握られた手首が熱くて。
 投げかけられた声がいつも以上に低められていて怖くて。
 私は彼の方を振り向けない。


「あ、あの、柳川……手……」

 涙がまだ引っ込んでいない――ばかりか驚きのあまりポロリと落っことしてしまって。

 振り向けないままに握られた手を取り戻そうとギュッと引いたら、「おーい柳川、何してんの〜?」との(・)ほ(・)ほ(・)ん(・)とした声がかかった。

 柳川がいつもつるんでいるメンバーの声に、私、救われた!って思ったの。

 なのに。

「悪(わり)ぃ、星野(ほしの)。次の講義、俺と鳴宮(こいつ)の代返頼めるか?」

 って……何それ、聞いてないっ!
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