すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「4年はもうほぼ授業ねぇから……多分居んだろ」

 言われて、その〝4年〟が誰を指しているのか分かった私は、思わず立ち止まる。


 場所は折しも階下に伸びる階段の踊り場。


 急に私が止まったから、握られていた手がスルリとほどけて柳川(やながわ)が2、3歩つんのめったような形になって、ヒヤリとする。

 踊り場じゃなかったら、柳川に怪我をさせてしまっていたかも知れない。

 驚いたように柳川が壁に手をついて体勢を整えると、こちらを振り返った。


「鳴宮(なるみや)。何で急に……」

「ごめ、なさっ」

 謝罪は柳川を危険な目に遭わせそうになってしまったことに対して。

 大事に至らなくてよかったと思ったらホッとして、震えが止まらなくなった。


 柳川は転びかけたことよりも、今まで従順に自分の後ろを付き従っていた私が、突然反抗的な態度を取ったことの方が解(げ)せないみたいで怪訝(けげん)そうな視線を私に向けてくる。

 私は震えているのを悟られたくなくて、壁にもたれ掛かるように身体を預けてから、

「行きたく……ないの」

 声を震わせないよう気をつけて、極力抑揚のない声で立ち止まった理由をボソリとつぶやいた。

 それに、「は? 何で?」と低く抑えた声で即座に柳川が応じてくる。
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