すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***

「そ(・)の(・)さん」

 私がそう呼んだら、そのさんが一瞬眉間に皺を寄せて悲しそうな顔をしてから、次の瞬間にはへらりと笑った。

「なんじゃあ、言凛(ことり)ちゃん。もうバレてしもうたん?」

 そのさんの言葉に、柳川(やながわ)ががピクリと眉尻を上げる。

「そのさん、今のってどういう……」

 私は2人を交互に見比べて、どうしたらいいのか分からずにオロオロしてしまう。


 そのさんはそんな柳川をまぁまぁと制すると、「言凛(ことり)ちゃん、柳川に何処まで話したん?」って聞いてきて。

 私はハッキリとは話していません、という意味を込めてふるふると首を振る。


「そっか。けど、まぁそろそろ潮時じゃろうね。すぐに話そうって言いたい所じゃけど、ごめん。ちょっと俺、今からどうしても一個だけ出んといけん講義があるけぇ、そうだなぁ。夜に集まり直さん? 場所は――」

 そのさんの指定したお店は、個室に仕切られている居酒屋だった。

「ちょっと前まで俺がバイトしよったトコじゃけ、割引もしてもらえるし、結構融通もきくけぇ。――俺の名前で19時に予約入れとくんでええ?」

 聞かれて、私はそっと柳川を窺(うかが)い見る。
 柳川が「分かりました」というのを聞いて、私も小さくうなずいた。
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