すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「柳川(やながわ)は……まだ、その子のこと……諦めてないの、かな?」

 楓(かえで)から、前に柳川が派手にフラれた話を聞かされた際、柳川がその子のことを「諦めない」ってライバル男性に宣言していたのを見たって聞いた。


 それを思い出して、自分の前に置いたコーヒーに粉タイプのミルクをティースプーン2杯分ほど落として、溶かすのに集中しているふりをして顔を上げずに尋ねた。

 きっと今、前を向いたら「辛い」って顔に書いてあるのバレバレだもの。見せらんないよ。


「あー、まぁ……俺、片想い期間かなり長かったからさ……。フラれちまっても何か意地になってたトコあって……絶対諦めないとか意気込んでたんだけど」

 そこまで言って、柳川がカップを口元に運んだのが視界の端に見えた。


 柳川、どんな表情をしてるのかな。
 自分の顔は見せたくないくせに、柳川のは見たいって思うとか、私も大概いやらしいよね。

 ギュッと唇を噛んでうつむいたまま、柳川の言葉を泣きそうになるのを必死に堪えながら聞いていたら、

「実はフラれて割とすぐにさ。花々里(かがり)から好きな男と入籍済ませたって言われたんだわ、俺」

 柳川がどこか呆気らかんとした声で言って、ククッと笑った。

「何かさ、それ聞いた瞬間吹っ切れたっちゅーか、もう諦めてもいいかなって思えたんだよな」
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