すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***

「言凛(ことり)ちゃん、聞いちょる?」

 肩に軽く触れられて、私は回想に浸っていたのだとハッとする。

「ごっ、ごめんなさいっ、そ(・)の(・)さん」

 取り分けたトマトをみんなの前に置きながらソワソワと謝ったら、そのさんに小さく吐息を落とされた。

「今日夕方に会ったときにも思ったけど――」

 言われて肩をグッと抱かれてそのさんの方へ引き寄せられて。

「やっ!」

 思わずキュッと突っ張ったら、小さく吐息を落とされた。

「俺の呼び方、いつの間にか〝そのさん〟に戻っちょるし、今の塩対応。ねぇ、こ(・)と(・)り(・)、俺が見てない間に柳川(やながわ)と何かあったんかな?って疑いたくなるんじゃけど?」

 言われて、私はヒュッと喉が鳴りそうになる。

 そのさん、今日の集まりでは「偽装」の恋人関係だと言うのを柳川の前で暴露してくださるんじゃなかったんですか?

 これじゃあまるで――。

「俺な、言凛(ことり)ちゃんと別れる気、ないよ? だって言凛(ことり)ちゃんのこと、無茶苦茶(ぶちくそ)好きじゃもん」

 肩を抱く力をグッと強められて、私は柳川の前なのに!と泣きたくなる。

「そのさん、私たちはっ――」

 私が一生懸命そのさんの腕から抜け出そうともがいたのと、柳川が「そのさん、全部一旦リセットすべきじゃないですか?」と低い声を出して、まるでそのさんを牽制(けんせい)するみたいに立ち上がったのとがほぼ同時だった。
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