義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
「上級魔導士より上の賢者ですら、ドラゴンを魅了するほどの魔法は2度も使えば魔力が枯渇する。そのたびに魔力回復ポーションを飲み、1時間で切れる魔法をかけ続ける。それが10日は続くんだ。一度切れたら終わり。途切れさせないように昼夜問わず魔法をかける」
 ふーん。
 ん?
「昼夜問わずって、眠れないの?」
「いや、1時間ごとに魔法を使えばいいから、その間は仮眠は取れる」
 仮眠……まとめて寝ることができずに10日か……。
「体力回復ポーションと魔力回復ポーション、いわば薬漬けだな。日本のブラック企業が天国に見えるくらい過酷な状況だぞ?それでも成功率は決して高くない。使うポーションだけですごい金額にもなるし、よっぽどドラゴンに思い入れがない限りすすめない」
 和樹の言い方って、なんだかあれだね。
「まるで、経験者みたいな言い方するんだねぇ」
「経験したからな」
 和樹が軽く返してきた。
「そ、そうなんだ。上級魔導士でもむつかしいって言ってたよね?」
 和樹の前世設定はなにやら少し細かいらしい。
「まぁ、一応、位としては賢者だったしな。世間からは白の大賢者と呼ばれていたが」
「しっ、白の大賢者……かっこいいね」
 そうかぁ。
 勇者とかじゃなくて、賢者方向に和樹はあこがれがあるのか。
 確かに魔法の話はするし、こうして魔法陣もどき作ったりしてるもんねぇ。
 聖剣のイラストをノートに書いたりもしてないみたいだし。
「そう?姉ちゃんがそういうなら、……うん、そうか。かっこいいか……。一度もそんなこと思ったことなかったけどな」
 和樹がちょっとうれしそうだ。
 そうか。二つ名とか中二病では、かっこいいと思われるか、痛いって思われるかどっちかだもんね。ほぼ、痛い……場合が多いけども。
「ありがとう。とりあえず、ゆきちゃんにはドラゴンのしつけはむつかしいって教えるよ」

■8

「その友達、姉ちゃんと仲がいいの?」
「うん。趣味が合うし、いい子だし、親友だよ」
 和樹がへーと言った後に小さくうなづく。
「じゃぁ、もう一つ教えてあげるよ。しつけはかなりむつかしいけど、隷属の首輪をはめることができれば、強制的に従わせることもできる。軍では隷属の首輪をはめたドラゴンに乗って戦う竜騎士という花形職業もあったぞ」
 竜騎士、キター!
 でも、隷属の首輪って!
 ドラゴンかわいそう!
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