義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
「笑うなよ?」
 和樹はそういうと、座っていた場所に戻り、何かを手に取って私に見せた。
「これ、魔法陣?」
 紙には円系に配置された何かの模様が描かれていた。
 いや、書かれていたわけじゃなくて、その形に銅線が載っている。
「魔素がないって話しただろ?で、この世界に魔素の代わりになるものが何かないかって考えてさ……。とりあえず、電気が思い浮かんだから、実験」
 はぁ、すごいな。
 オリジナル魔法陣を考えるところまでは、歴史上多くの中二病患者たちが行う行動だ。
 それに電気を通してみようっていうのは……。
 うむ、せっかくなら光ったりするやつのほうが見栄えしない?あれ?見栄えの問題じゃないのかな?
「で、何の用?」
「え、あ、そうでした。あのね、ゆきちゃんって知ってる?あ、高校に入ってからの友達だから和樹は知らないか」
「その友達がどうしたの?」
「ドラゴンのしつけ方が知りたいんだって」
 和樹はふぅっとため息をついて、学習椅子に腰かけてくるくると回った。
「方法は簡単。でも実行するのは困難。知ってどうするのか知らないけど、簡単だよ」
 へー。簡単なんだ。
「チャームを使う」
「チャーム?チャームって、乙女ゲームのヒロインが無意識に使っているのが悪役令嬢に見破られるみたいなあの魔法のチャーム?」
 私の言葉に和樹が眉を寄せる。
「何、それ?乙女ゲームとかって、逆ハーレムのゲームだろ?なんで魔法が関係するんだ?」
 あ、そうか。和樹は悪役令嬢系とか乙女ゲーム系とかの転生小説は読んでないか!
「よくわかんないが、チャームっていえば魅了魔法のことだ。ドラゴンにチャームをかける」
 なんと!
 ドラゴンを卵から育てるとか、テイマースキルを持った人間がしつけるとか、そんなんじゃなくて、まさかの魅了魔法?!
 和樹の考える異世界って面白い!
「魅了魔法にかかって言うことをきく間に、敵じゃない、味方だと刷り込む。それから、立場はどちらが上かを示す」
「へー。それでいいんだ」
 確かにむつかしい手順はなさそう。
「まぁそうだな。ドラゴンほどの相手になると、上級魔導士でもチャームを成功させることはむつかしい。成功したとしても、1時間も効果は持たない。効果が切れそうになるたびにチャームをかけなおさなければならない」
 はぁ。
< 11 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop