義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
「和樹?それ、どういうこと?なんか予知夢とか占いとかなんかそんなのも……」
 患っているのだろうか……。
「さぁね」
 和樹がふっと笑う。
 いやいや、やめて!
 予言めいた感じに見えるから、そんなに自信満々な表情で言われると。
 ああ、これも賢者ごっこの延長なんだろうか。
 白の大賢者か……。大賢者というくらいだから、未来も見通せそうだしな。
 って、だめじゃん、私。
 ついつい、和樹の中二病ワールドを現実とごっちゃにしてるというか、なんか、リアルに持ってき考えるとか、だめじゃーん。
 でもだって、和樹の前世は賢者だった話って、妙に説得力があったりするんだもん。なんていうか迷いがなく話が出て来るからなのか……。

■9

「和樹、昨日さゆきちゃんが言ってたんだけど、隷属の首輪って結局しつけ用の首輪みたいなものなの?」
 1週間のうちに1回は異世界の話をするのが普通になった。
「あ?なに、しつけ用の首輪って?」
「知らない?無駄吠えをする犬につけたりするやつ。吠えると電気がピリッとするとかそういうので、まぁ、虐待じゃないのって問題もあったりするあれだけど……」
 和樹がへーっと感心したような表情を見せる。
 ……とても中2の表情には見えないなぁ。
 そういえば、すっかり声変わりも終わったし、身長もずいぶん伸びたなぁ。あと2年もしないうちに、身長も抜かされそうだなぁ。そっか。
 成長期だもんなぁ。表情だって変わってくるよね。
「どこの世界も似たようなもんだなぁ。そうそう、そんな感じ。逆らうとひどい目に合うから逆らうなってのが基本。まぁ、電気ショックじゃなくて、魔法的なところが違いかな。電池じゃなくて、魔素をためた魔石を使うんだよ」
「ああ、そうなんだ。魔石は電池みたいなものなんだ。そっか、だから和樹は、魔素の代わりに電気で何とかならないかと思ったんだね?で、どうなの?研究成果は」
 和樹が首を横に振った。
「魔法陣は作動しなかった。残念ながら。そう簡単にはいかないみたいだ」
 そんな会話をしながら、和樹が中二、私が高二の時間は過ぎていった。

 中三と高三の時間は、進路を決めたり、受験勉強をしたりと忙しく過ぎていった。
 和樹の予言というか呪いというか、単に私がモテないせいか、高校卒業まで色恋の話題はなかった。

「卒業おめでとう、和樹!」
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