義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
異世界転生の小説を読む前よりもずっと、クローゼットの扉を開けたら異世界だとか、チョコレート工場に行くと不思議な世界が広がっているとか、電車のホームで魔法の世界に行けるとか、そういう話が大好きだった。
■16
もちろん、どれも子供に人気のある話ばかりだ。だから不思議に思わなかったけれど……。
時々デジャブを感じるんだ。魔法だったり、不思議な生き物だったり。それくらい近いところに異世界があるような感覚がある。おとぎ話じゃなくて……。
「だからね、和樹がいつか姉ちゃんもいい大人なんだからいつまで異世界なんて馬鹿なこと言ってるんだって言われるんじゃないかって思って。一緒にいつまでも話ができたらうれしいのになぁって……」
和樹がふっと笑う。
「姉ちゃん、まかせとけよ。俺、一生をかけて、少しずつ姉ちゃんに異世界の……前世の話聞かせてやるから」
おふっ。
和樹の手が頭の上に乗った。
うごご、さっきのお返しにわしゃわしゃされるっ!
せっかくさっきとかしたばかりなのに!と身構えたら、和樹の手が「ポンポン」と頭の上ではねてすぐになくなった。
あ、れ?
やり返さないの?
首をかしげて和樹を見る。
「で、そいつのこと、姉ちゃん好きなの?」
「そいつ?」
和樹が不機嫌な声を出す。
「異世界部の先輩とかいうやつだよっ!イケメンなんだろっ!」
「武田先輩のこと?別に好きとか嫌いとかじゃないよ!あ、どちらかというと好きかなぁ」
「はぁ?」
「だって、和樹のことほめてたもん」
「ばっ、ばっかじゃねーの!」
和樹が顔を赤くしてそっぽを向く。
褒められて照れるなんてかわいい奴め。
「で、その武田先輩が、魔素の代わりに静電気が使えるんじゃないかって。体にたまった静電気を操れるようになれば……」
「静電気ねぇ……。パチッっていうやつを意識的に起こせるようになれば、確かに電撃魔法とは言わないけれど、多少はそれっぽい感じになるか?」
「電気で、火もつけられるでしょう?それに雷は光るし!あと、先輩が言うには水も静電気で動かすことができそうだって!」
和樹が何やら考え込み始めた。
「でね、和樹」
あ、集中しすぎて、もう私の声が届いてないな。
この周りのことが見えなくなるくらいの集中力があるから、和樹は勉強もよくできるんだろうなぁ……。
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もちろん、どれも子供に人気のある話ばかりだ。だから不思議に思わなかったけれど……。
時々デジャブを感じるんだ。魔法だったり、不思議な生き物だったり。それくらい近いところに異世界があるような感覚がある。おとぎ話じゃなくて……。
「だからね、和樹がいつか姉ちゃんもいい大人なんだからいつまで異世界なんて馬鹿なこと言ってるんだって言われるんじゃないかって思って。一緒にいつまでも話ができたらうれしいのになぁって……」
和樹がふっと笑う。
「姉ちゃん、まかせとけよ。俺、一生をかけて、少しずつ姉ちゃんに異世界の……前世の話聞かせてやるから」
おふっ。
和樹の手が頭の上に乗った。
うごご、さっきのお返しにわしゃわしゃされるっ!
せっかくさっきとかしたばかりなのに!と身構えたら、和樹の手が「ポンポン」と頭の上ではねてすぐになくなった。
あ、れ?
やり返さないの?
首をかしげて和樹を見る。
「で、そいつのこと、姉ちゃん好きなの?」
「そいつ?」
和樹が不機嫌な声を出す。
「異世界部の先輩とかいうやつだよっ!イケメンなんだろっ!」
「武田先輩のこと?別に好きとか嫌いとかじゃないよ!あ、どちらかというと好きかなぁ」
「はぁ?」
「だって、和樹のことほめてたもん」
「ばっ、ばっかじゃねーの!」
和樹が顔を赤くしてそっぽを向く。
褒められて照れるなんてかわいい奴め。
「で、その武田先輩が、魔素の代わりに静電気が使えるんじゃないかって。体にたまった静電気を操れるようになれば……」
「静電気ねぇ……。パチッっていうやつを意識的に起こせるようになれば、確かに電撃魔法とは言わないけれど、多少はそれっぽい感じになるか?」
「電気で、火もつけられるでしょう?それに雷は光るし!あと、先輩が言うには水も静電気で動かすことができそうだって!」
和樹が何やら考え込み始めた。
「でね、和樹」
あ、集中しすぎて、もう私の声が届いてないな。
この周りのことが見えなくなるくらいの集中力があるから、和樹は勉強もよくできるんだろうなぁ……。