義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
「ちゃんとじゃないでしょ!どこがちゃんとなの!ゲームのせいでちゃんとできないならもう、ゲームは禁止!」
 携帯ゲームを母さんから取り返そうと、和樹が手を伸ばす。
「うっせーって、ゲームのせいじゃないって。手袋なんていらねーし!いらねーもんもらって礼なんて言えるわけねーだろ!」
 和樹の言葉に、母さんの怒りがマックスに達した。
 そりゃそうだ。おばあちゃんの耳にもしっかり聞こえるんだもん。流石に言いすぎ。
「あんたは……おばあちゃんになんていうことを!あんなにかわいがってもらったのに、おばあちゃんに謝りなさい!」
「知らねぇよ!かわいがってくれなんていってねぇし!」
 和樹が母さんをにらみつけた。
 反抗期だから、反抗的な顔つきに反抗的な態度に反抗的な言葉に……それも成長の一つだからねぇと、いつもならため息一つで受け流す母さんだったけど。
 さすがに、おばあちゃんに対する暴言は受け流せなかったみたいで。
 バシンと、和樹の頭を叩いた。
「和樹っ!血がつながっていないあんたを、本当の孫のようにかわいがってくれたおばあちゃんに……あんたはなんてことを……!」
 母が失言した。
「え?血が、つながってない?」
 おばあちゃんは、父さんの母さん。父方の祖母ね。
 だから、母の連れ子だった和樹とは血がつながっていない。
「母さん、どういう……こと?」
 和樹に動揺が見える。
 私は、和樹と母さんと血がつながっていないというのは知っていたけど、和樹はまだ知らなかったんだ。
 そりゃ、動揺もするよね!
 何てこと言うの!母さん!あ、字面で言うと義母さんなんだけど、私は本当の母さんだと思ってる。
 それから、もちろん義弟だなんて一度もそんな単語は思い浮かんだことなんてない。
「わっ、私は、血がつながっていなくたって本当の"弟"だと思ってるからね!」
「え?姉ちゃんとも、血がつながってない?」
 ―――!
 失言ーーーーっ。
 母さんのこと言えない!私も、何てこと言うの!
 わわわ、私のバカ!
 おばあちゃんと血がつながってないってだけなら、なんとでもごまかせたのにっ!ごまかせたのにっ!
「ど、どういうことだよっ!」
 和樹が頭をフリフリして、ふらふらと立ち上がる。
 それから、居間を出て、階段を駆け上がり自室に入った。
「ああ……」
「ごめんなさい、母さん……」
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