極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
繭が以前働いていた事務所の出世株で、慎太郎とは正反対のタイプの弁護士だった。有能で、バリバリ数字を残していくタイプ。だが、不思議と慎太郎と仕事をしていると彼を思い出すことがよくある。
(全然違うタイプなんだけど……自分を曲げない頑固さがちょっと似てるのかも)
彼と繭の関係は恋人でもなんでもない、ただの職場の同僚。あの事務所は大所帯で、あいさつ程度の会話しかしたこともなかった。触れ合ったのは旬太を身ごもったあの一夜かぎり、樹はもう繭のことなど覚えてもいないだろう。
だが、繭は彼を恨んでなどいない。むしろ――。
(最高の遺伝子で念願のシングルマザーになれたんだもの。感謝しかないわ!)
繭は旬太を身ごもる以前から結婚願望は皆無だった。子どもは好きだけど、結婚しない以上は子どもも諦めるしかないと思っていたのだ。そんな繭にとって、旬太の妊娠は神さまからのギフトも同然だった。
自分の知らないところで一夜かぎりの女が自分の子を産み育てているなんて、樹にとっては恐怖でしかないだろうし、彼に対して申し訳なく思う気持ちもないわけではないが……。
(彼はアメリカだし、帰国しても大都会東京で再会する可能性なんてゼロに近い。なにも問題はないわ)
繭は不敵な笑みをこぼす。すると、旬太が不思議そうに繭の顔をのぞき込んできた。
「あぁ、ごめん、ごめん。帰ろうね」
(全然違うタイプなんだけど……自分を曲げない頑固さがちょっと似てるのかも)
彼と繭の関係は恋人でもなんでもない、ただの職場の同僚。あの事務所は大所帯で、あいさつ程度の会話しかしたこともなかった。触れ合ったのは旬太を身ごもったあの一夜かぎり、樹はもう繭のことなど覚えてもいないだろう。
だが、繭は彼を恨んでなどいない。むしろ――。
(最高の遺伝子で念願のシングルマザーになれたんだもの。感謝しかないわ!)
繭は旬太を身ごもる以前から結婚願望は皆無だった。子どもは好きだけど、結婚しない以上は子どもも諦めるしかないと思っていたのだ。そんな繭にとって、旬太の妊娠は神さまからのギフトも同然だった。
自分の知らないところで一夜かぎりの女が自分の子を産み育てているなんて、樹にとっては恐怖でしかないだろうし、彼に対して申し訳なく思う気持ちもないわけではないが……。
(彼はアメリカだし、帰国しても大都会東京で再会する可能性なんてゼロに近い。なにも問題はないわ)
繭は不敵な笑みをこぼす。すると、旬太が不思議そうに繭の顔をのぞき込んできた。
「あぁ、ごめん、ごめん。帰ろうね」