極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「う~ん、あれをきっかけに色恋沙汰なんて面倒くさいという思いが強くなったのは事実です。でも……昔からあんまり興味なかったというか……もっとはっきり言えばモテないっていうか」

 繭は苦笑する。卓也のことが起きる前から繭は色恋には疎かった。自由人な父に振り回されて苦労続きの母を見てきたせいで結婚願望も全然ない。
 美智子はずいと身を乗り出すと、繭の眼前に人差し指を突きつけた。

「あのね、職場と家を往復するだけの毎日じゃモテるかどうかもわからないでしょ! まずは確かめるために一緒に飲み会参加しようよ」

 繭より三つ年上の美智子は絶賛婚活中なのだ。この職場、飲み会の誘いは結構多いのだが、繭はいつもやんわりとお断りしている。

「えーっと、知らない人と話すのはどうも苦手で――」
「ほんと枯れてるんだから! じゃあさ、もし王子が付き合おうって言ってきたら? それでもノーと言う?」

 この職場で王子と呼ばれる人はただひとりだ。繭は美智子には樹のファンであることを隠していない。
 繭は樹の涼しげな横顔を思い浮かべながら、彼に告白されるところを想像して……思わずぷっと噴き出した。

「なんで笑うのよ」

 美智子はぷぅと頬を膨らませて繭をにらむ。
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