魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 ……ヤバイ幽霊だ。
 こいつ、今までイケメンで騙されそうになってたけど、残念イケメンじゃない。
 変態イケメン幽霊だ!
 剣を手に持ち、歩き出す。
『え?ちょっと、ユキ?樽はあっちだよ、僕をどこに連れていくつもり?ねぇ、そっち荒野だよ、ユキ、ユキっ』
 ディラが慌てて私の前に回り込んで両手を振り回す。
「ディラ、人に踏まれたいという人のことを、私の住んでいた世界ではMというの。私はね、Mと相性の良いSにはなれそうにないから。きっといつか、ディラとお似合いのSと出会えるわ……」
 と、分かりやすくお別れの言葉を口にする。
『ま、まって、違うよ、踏まれたいなんて思ってないよ、ユキ、踏まれるのは剣だから、僕は踏めないでしょ?』
 ん?
『そりゃ、ユキとか子供たちに踏まれたら、背中のマッサージになって気持ちいいかもとか少しは思うけれど、踏まれるのが好きなんて、そんな気持ちがあったら、アイラに叱られてもご褒美だったじゃないか!』
 ん?
 前にも出てきたアイラさん。ディラを叱るときに踏んだりしてたの?
 っていうか、何をしたらいい大人が踏まれるまで叱られるの?それとも、子供の時の話?

 そうか。踏んでもいいというのは剣の話。確かに……ディラを踏もうと思ったって、幽霊は踏めない。
 勘違いしてたことを反省して、剣を持って戻った……なんて、一幕もありつつ。
 結局、ディラに物理的な作業を何か手伝ってもらうのは無理という、当たり前の話なんだけれど、いつまでも手伝えない自分は情けないだの。
 恥ずかしすぎて穴があったら入りたいだの。……墓穴くらいしかディラが入れる穴はないと思うけどとか思ったりもして。
 なので、まぁ、ちょうど作業に飽きたモモちゃんの見張りをお願いしたというわけだ。
 結局剣を持ち上げたり降ろしたりした方がよほど重労働ということで、剣はもちろん使わず。
 でも、何かつぶす道具を使うという案はいいかもと、収納鞄からなんかつぶすのに便利な道具を取り出した。
 両手で突き出た木の棒みたいなところを持って、穴の開いた木の板みたいなやつを実の上から押してつぶす道具。
 腕の力がいるんだけれど……。
「ネウス君、日に日にたくましくなっていくね」
 ネウス君は信じられないくらいその道具を軽々と扱っている。
「ポーションのおかげかな」
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