魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 ネウス君もミーニャちゃんもドンタ君もモモちゃんも、みんないい子で育ってるし。
 それなのに、私……。
 もしかしなくて、懸命に生きてきたおばばさんに……「魔力が無くてもできることはある」と教えているつもりだったけれど……。
 それは「できることがあるのになぜやらなかったんだ」という責めているような言葉にも感じていたのかもしれない。
 知らないことが罪?知ろうとしないことが罪?現代社会ではすぐに「ググれ、調べろ」みたいなことを言う人がいる。
 自己責任、知らない方が悪い、騙される方が悪い、情報に踊らされる方が悪い……。
 違う、違う、違う、違う!
 絶対に、おばばさんは悪くない。
 誰もが同じ環境で同じように情報を得られるはずがない。生きていく、ただそれだけがとても過酷なこの場所で……。それでもおばばさんは多くの子供たちの面倒を見ながら、子供たちが笑うことも失わずに……育ててきた。
 それがどれだけすごいことなのか。
「おばばさんは、無能じゃないです」
 この思いをどう伝えればいいのか。
「じゃが、ワシは……あの子たちを……もし、ワシがユキのように……」
 ああ、やだ。私の存在が、おばばさんを否定する。違うよ、ごめんなさい。私にはとてもまねできないすごいことを、何十年も続けてきたおばばさんこそすごいのに……。
 ああ、そうだ。そうだよ。
「あの、私も、無能ですっ。ただ、私には、ほ、ほら!【指輪出てこい】」
 収納鞄から急いで荒野で拾った赤い石のついた指輪を取り出し、土の精霊からもらった……というか無理やりはめられた契約の指輪の隣の隣、左手の人差し指にはめておばばさんに見せる。
「ほら、私は無能だけれど、精霊様が付いてるから、精霊様に助けてもらっているの。魔力回復薬の話も、精霊様がいなければ分からなかったことで……」
 まぁ、ディラに教えてもらったんだけど。ディラは精霊ということにしてあるから、嘘をついているわけではないよね。うん。
 しかし、指にはめた赤い石の指輪。こうやって比べてみると、土の精霊の契約の指輪に本当にそっくり。違うのは石の色だけだ。
 おばばさんが、私の指輪を見てきょとんとしている。うーん、そうか。
「精霊のノーム様、ちょっと地面を揺らしてください」
 指輪にそれらしく話しかける。
『お安い御用じゃ!それゆーらゆら』
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