魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「違うよ、ネウス君。みんなで作ったんだよ?私じゃないよ?今もほら、皆で作ってるでしょう?ネウス君が木にのぼってマナナの実を収穫してくれなければできなかった。ミーニャちゃんたちが実をつぶさなければできなかった。ドンタ君がつぶした実を樽に移してくれなければできなかった。それから、モモちゃんとおばなさんがカビないように毎日丁寧に攪拌してくれなければできなかった……みんなで作ったのよ?」
 ドンタ君が嬉しそうな顔をする。
「……魔力がないのに、こんなうめーもんが作れるんだな」
 ドンタ君の言葉に首を横に振る。
「違うよ、魔力がないのに作れるんじゃなくて、魔力がないから作れるんだよ。魔力回復薬は、作っているときに少しでも魔力が流れてしまうとうまく作れないらしいし、実際、前に飲んだ魔力回復薬よりおいしくできてるよね?」
 おばばさんが涙を落とした。
「魔力がないから何もできない……人として半端で、生きている価値がなくて、街の貴重な資源を減らすだけの存在など街におけないと追い出されたワシらが……」
 貴重な資源?ずいぶん豊かに見えたけれど、そうでもないのかな?
「そんなワシら魔力無しができることがある、いいや、ワシら魔力無しじゃなければなしえない、良質な魔力回復薬づくり……。ふ、ふふ、皮肉なもんじゃ……」
 おばばさんの声が震えだす。
「魔力のないワシらが、魔力のある者の役に立つものを作り出す……じゃが、もし、ワシがこのことを知っていれば……知っていれば、街を追い出されるようなことも……ワシは……魔力が無いだけじゃない、本当の無能じゃ……。ワシが何も知らなかったせいで……」
 周りにいた天に昇って行った小さな霊たちを思い出す。
 ああ、いくつもの命がおばばさんの元を去っていった。
 魔力回復薬を作ることを知っていれば、確かに救えた命かもしれない。

 でも、違う。知らなかったからって、責められることじゃない。
 小さな霊たちは、恨んだり妬んだり苦しんだりして空に行けなかったわけじゃないよ。
 みんな、おばばさんのそばを離れたくなかったの。もっと一緒にいたいって。
 大好きだって。離れたくなくて、いたの。
 それって、おばばさんがどれほど子供たちを愛して慈しんで、大切に育ててあげたか……。
 おばばさんは、自分にできることを精一杯していた。この環境で、できることを……。
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