魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
『ユキ、鞄、鞄開いて、モンスター避けのなんかえっと、何だっけ?ちょっと待って、うーんと、モンスター避けちゃうと倒せないから使ったことなかったけど……って、持ってない、いや、そう、使わないからってあげちゃったんだ……ごめん』
ディラが眉毛を下げて口をへの字にして泣きそうな顔をしてこちらを見た。
「あー、その、とりあえずディラは300年その辺にいたよね?モンスターの姿見た?」
ディラの剣があった場所を指さす。
『そういえば、決戦の地ではモンスターを見たことはない!大丈夫、うん。えっと、あっち行けば大国があるし、僕の家もあるから』
300年前の家ねぇ……。廃墟か、別の人の物になっているか、更地ってとこかな。
■
追い出された街を思い出す。そういえば、つるんときれいな表面の石づくりの家が並んでいた。あのレベルの建物なら300年で朽ちることはないのかな?いや、家の問題よりも……。
「ディラの国は、魔力0でも追い出されない?」
『当たり前だろ。魔力0で追い出すなんて聞いたことがない』
「いや、でも、あの街は魔力0だからって……」
まぁいいか。あの街が特殊という可能性もある。300年前から状況が変わった可能性もあるけれど、とりあえず、ここに居続けても仕方がないことだけは確かだ。
「じゃぁ、ディラの家に行こうか」
『うん』
嬉しそうなディラ。……そこで、はたと気が付く。
いや、違う、違う。魔力0で追い出されるとか追い出されないとかそんなことはどうでもいい。
それは街に住む……この世界で生活するための情報だ。
それよりも私にとって大切なことがあるじゃないか。
「ディラは知ってる?日本に帰る……えっと、異世界から召喚された者が」
日本に帰る方法。私にとって大切な情報はそっちだ。ないと言われたらどうしよう。ないと言われる覚悟をしながら尋ねても実際に言われたらショックを受けるだろうと思うと、声が小さくなる。
『あ、ユキ、人がいる』
へ?
ディラが指をさす方向に、確かに人の姿があった。
薄汚れた布を頭からすっぽりかぶって街に向かって歩いている。
布は日よけ替わりなのだろうか。それともファッション?
どうにも足取りはふらふらしてるように見える。あ、倒れた。
『あー。あれはダメだな。かなり弱ってる』
ディラがこともなげに非常なことを口にする。
ディラが眉毛を下げて口をへの字にして泣きそうな顔をしてこちらを見た。
「あー、その、とりあえずディラは300年その辺にいたよね?モンスターの姿見た?」
ディラの剣があった場所を指さす。
『そういえば、決戦の地ではモンスターを見たことはない!大丈夫、うん。えっと、あっち行けば大国があるし、僕の家もあるから』
300年前の家ねぇ……。廃墟か、別の人の物になっているか、更地ってとこかな。
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追い出された街を思い出す。そういえば、つるんときれいな表面の石づくりの家が並んでいた。あのレベルの建物なら300年で朽ちることはないのかな?いや、家の問題よりも……。
「ディラの国は、魔力0でも追い出されない?」
『当たり前だろ。魔力0で追い出すなんて聞いたことがない』
「いや、でも、あの街は魔力0だからって……」
まぁいいか。あの街が特殊という可能性もある。300年前から状況が変わった可能性もあるけれど、とりあえず、ここに居続けても仕方がないことだけは確かだ。
「じゃぁ、ディラの家に行こうか」
『うん』
嬉しそうなディラ。……そこで、はたと気が付く。
いや、違う、違う。魔力0で追い出されるとか追い出されないとかそんなことはどうでもいい。
それは街に住む……この世界で生活するための情報だ。
それよりも私にとって大切なことがあるじゃないか。
「ディラは知ってる?日本に帰る……えっと、異世界から召喚された者が」
日本に帰る方法。私にとって大切な情報はそっちだ。ないと言われたらどうしよう。ないと言われる覚悟をしながら尋ねても実際に言われたらショックを受けるだろうと思うと、声が小さくなる。
『あ、ユキ、人がいる』
へ?
ディラが指をさす方向に、確かに人の姿があった。
薄汚れた布を頭からすっぽりかぶって街に向かって歩いている。
布は日よけ替わりなのだろうか。それともファッション?
どうにも足取りはふらふらしてるように見える。あ、倒れた。
『あー。あれはダメだな。かなり弱ってる』
ディラがこともなげに非常なことを口にする。