魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 まぁ、どちらにしても、三十路の私よりも年下なことは間違いないだろう。日本だと少年法が20歳までだから少年とか青年とか呼び方がややこしいんだよ。そういえば十代後半から20代が青年だから、30すぎるともう青年じゃないんだよ。でも、商工会青年部は45歳まで入れるとか。本当なんていうか、ややこしいよね。

『ユキ~』
 先を歩く青少年。なぜか、ディラはドナドナされているかのように悲しげな眼で私を見ている。
 なんでよ!女性に荷物を持たせるなんて死にたいとか言ってたんだから、今の状況はハッピーだよね?
 荒野を歩くこと、およそ1時間。そろそろ疲れたなぁと言うところで、少年に声をかける。
「休憩しようか。あとどれくらいなのかな?」
「2日」
 はぁ?え?えええ
「ふ、2日?え?だって、飲み物も食べ物もなしで歩いてたの?」
 少年が、ああと小さく頷いた。
「ちょっと待っててくれ。食べ物と飲み物探してくる」
 探す?
 きょろきょろとあたりを見回しても、岩と土で、川も木も見当たらないけれど?
 少年が、剣をそっと地面に置いて、走り出した。
「あー、ちょっと待って!食べ物も飲み物もディラの収納袋の中にあるから大丈夫ー」
 と言う間もなかった。
 はー、まぁいいや。休憩休憩。
 地面に腰を下ろす。服が汚れるけれど、もう十分汚れているから関係ないか。
『ユキ、お腹空かない?喉も乾かない?』
 ディラがそわそわとしている。
「んー、さっき食べてからまだ2時間くらいだから、お腹は空いてない。喉は乾いたけれど……。水とか入ってる?」
 果実水は、果汁分がたっぷり過ぎて、さすがに飲み続けるにはちょっと辛い。
『水なら、水魔法で出せば』
 魔法、ね。魔力ゼロだって言ったはずだよね?
『えっと、水の魔石が入ってると思う。魔法で出した方が早いから使ったことないけれど小指の爪くらいの大きさの物で、バケツ1杯くらいの水は出るかな?』
 おや、そんな便利なものが。
「ありがとう。えーっと、水の魔石とコップを2つ」
 収納鞄から取り出し、しばらく待っていたら少年が戻ってきた。
「小さな物しか見つからなかった」
 少年の手には丸いサボテンのようなものがのっている。
「ありがとう、えーっと、どうやって飲む?食べる?の?」
「こうするんだ」
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