魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 ……ディラが尊敬のまなざしを私に向ける。
 っていうか、かわいいって本気で言ってるのかな?どう見えてるんだろう?
 あまりにもまっすぐな目でこっちを見るから、恥ずかしくなって視線を逸らす。って、幽霊相手に照れるとか、何してるんだろう私。
「あ、火が着いた!」
「すごい!」
 子供たちから歓声が上がる。
「助かった。ありがとう。ありがとう」
 おばばさんがしわしわの手で、私の手を握った。
「まだ、です……」
 細くて折れそうな手。
「まだとはどういうことじゃ?」
「ネウス君は魔力がないから何もできないって言ってました。だけど、ああして火は魔法を使わなくても着けることができます。他にも、できることはあるはずです」
 魔力が0だからと。魔法が使えないからと。できないと諦めていたことは他にもあるはずだ。
 そうじゃない。きっと、そうじゃないと知らないから。
 自分はダメだって。
 魔力がないから低級民だと呼ばれる存在で、魔法が使えないから食べる物すら十分になくてやせ細っても仕方がないんだって……。
 そんな風に思いこむなんて、絶対違う。
 人はみな違って当たり前なんだもん。低級だとか上級だとかあるわけない。あるわけないんだよ!
 魔力がなくたって魔法が使えなくたって代わりにできることは絶対ある。体育が得意な子、計算が得意な子、給食を残さず食べられる子、人にやさしくできる子、忘れ物をしない子、静かにできる子、ありがとうが言える子……。評価の基準が変われば、優劣なんてすぐに変わる。
 だから、人間には上も下もない。
 魔力が0だから下なんてそんな風に分けられるものじゃないんだ。

「魔法が使えないからと、諦めていることはなんですか?」
 私の質問におばばが糸のような目を見開く。
「そうじゃな……」
 おばばが考え込んでしまった。
「魔法が使えたら、夜でも昼間みたいに明るいんだろ?」
 黙り込んでしまったおばばの代わりに、ドンタ君が口を開く。
 電気があれば、魔法なんてなくたって明るくなる。けれど、今の私はエジソンじゃないから電球は作れないんだ。ごめん。
 でもね、魔法が使えなくたって、叶うことなんだよ?
『光の魔石を使えばいいんだよ』
 ディラがモモちゃんの頭を撫でている。
「ん?」
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