魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 1つだけ?何度も思うというのは、よほどのことだ。火がなくて困る以上のことなの?
「パンが食べたい」
 は?パン?
 パンを買うお金があればいいってこと?それとも街の中に入りたいっていうこと?
 魔力があれば街から追い出されることもなく、働いてパンを買って食べることができたのだろう。
 街に住むためには、確かに……魔力がいる……それは、魔法が使えない世界での知識を使ってもどうにもできない……。
「生まれてすぐに捨てられたこの子たちに……パンを一度でいいから食べさせてやりたい……いいや、一度じゃない、毎日腹いっぱい食わせてやりたいと何度思ったことか……」
 おばばの目尻に光るものが見える。
『収納鞄の中に、いっぱいご飯入ってるよ、ユキ、出してあげて!』
 うん。
 そうだね。そうしてあげたい。
「焼けたよ!ご飯だよ!今日はね、ネウスお兄ちゃんが砂ネズミを捕ってきてくれたんだ!ご馳走だよっ!」
 ドンタ君がが嬉しそうに駆けてきいった。その先には、ミーニャちゃんが葉っぱのお皿や木の器をいくつか運んでいるのが見えた。
 ああ、あれから食事の準備を一人でしていたんだ。病み上がりだというのに……。もう、すっかり大丈夫なのかな?
「皆もご飯だよ!」
 ネウス君が、ミーニャちゃんから受け取った葉っぱのを持ってきた。葉っぱの上には肉片が乗っている。
「ユキ、ミーニャを助けてくれてありがとう。本当は全部ユキに食べてもらいたいんだけど、アイツらにも……食わせてやりたくて……」
 と、ネウス君は申し訳なさそうに子供たちを見た。
 子供たちの前には、同じように葉っぱに乗せられた肉片。おばばと子供たちが5人。私もいれて6人。両掌に乗るサイズの砂ネズミを皆で分ければ一人分は焼き鳥の串1本分の肉もない。
 私の葉っぱの上にだけは、焼き鳥2本分ほどのお肉がのっている。
 私はいいから、皆で分けてともいえない。
 これは、ネウス君やミーニャちゃんを助けたお礼だ。
 断ることは、命を助けたことはお礼など必要のない軽いことだと、皆の命は軽いと言っているようなことにもなる。それに、ネウス君がまた両腕を差し出しかねない。
 ああ、でも、小さな子供たち……誰も、ユキだけたくさんでいいなぁなんて言わない。
 おなかが空いているだろうに。
 もっと食べたいだろうに。

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