魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「苦い……精霊様はいつもこんなに苦いものを飲んでるの?」
「え?」
 飲み終わったミーニャちゃんが悲しそうな顔をする。
「オイラ、お肉お供えしてあげればよかった。きっと、精霊様も美味しいもの好きだよな?」
 にぱっと笑うドンタくん。
 あ、ディラが泣いてる。
『ううう、頑張って飲むよぉ』
 感動と、もう今更残せない状態とで、泣きながらディラがローポーションを飲んでいる。
 あ、心なしか、子供たちの顔色が少しよくなったような気が……。
 ゆっくりとローポーションを飲み干したおばばが目をカッと見開いた。
「こ、これは……話に聞いたことがあるポーションというものなのじゃないのかの?」
「あーっと、ローポーションです」
 おばばが、小刻みに震える手で、空になった瓶に視線を落とす。
「なんと、なんと、そのような貴重な物を……ローポーションといえども……殿上民様しか手に取ることしかできないような品」
 へ?

 下級民というからには、上級民やら中級民やら呼ばれる人がいるのは想像できるけれど、殿上民?言葉的には王族系?陛下と呼ばれる人間がいたよね……。私を召喚した挙句、捨ててこいと命じた男だ。
『全然貴重じゃないよ。5歳の子供でも倒せるスライムから手に入るから。大人なら、歩き回ってる間に知らずにスライム踏んで倒せちゃうレベル』
 へ?
 おばばから視線を外してディラを見る。
 うーん、どちらも嘘をついているようには見えない。……300年前と状況が違うって言うことだろうか?
 遠くに街を包むベールが見える。
「あ!そういえば、街から外に出ると中には戻れないって言ってた。ディラ、そのスライムってどこにいるの?街の中で出たりする?荒野、通ってきた場所ではいなかったよね?」
 街の外ではありふれていて、何でもない物でも、街の中では貴重品だという話かもしれない。
「ディラ?」
 ネウス君が首を傾げた。
 しまった!幽霊と会話するの聞かれちゃった。今までずーっと、ディラに話しかけられても無視してたのに!
「あーの、その、精霊の名前……」
 さっきうっすら皆に姿を見せたので、大丈夫かな?
「ユキは会話もできるのか!すげぇ!あ、だったら、精霊様にありがとうって伝えてくれるか!」
「あたちも、せーれーたん、ありがと」
 子供たちがみんな口々に精霊様……じゃないディラにお礼を言い始めた。
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