魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
『いや、待てよ?体……ん?何だろう、えーっと、あれ?……えーっと……何か忘れてるような?』
 ふとディラが何かを思い出したように、いや、思い出しかけて顔を上げる。
 と、そんなことをしている場合ではない。
 水の魔石が水を出すのを。火の魔石が水を温めるのを止める。
 湯加減はばっちり。冷めないうちに入ろう!
「風呂が沸いたよ~。さぁ、皆で入ろうね!」
「え?お湯の中に入るのか?俺たち食べる気なのか?」
 ドンタ君がぎょっとした顔をする。
「えーっと、違うよ、ほら、私も手を入れられるよ、煮るときのように熱くはなくて、えーっと……」
 ディラも風呂を知らなかったんだ。子供たちが知るはずもない。
 ……そもそも水浴びすら知らない?
「えーっと、風呂……うんと、精霊様に会うのに身を清めるのよ」
 へらりと笑って適当なことを言う。
 子供たちもおばばも真剣な目をして私の言葉に耳を傾ける。
「確かに、神殿では神事を行う前には身を清めると聞いたことがあるのじゃ。洗浄魔法を使えばいつでも体も服もきれいになるというのにわざわざ水に浸かると聞いたことがあって不思議に思っていたんじゃが……」
 洗浄魔法か!なるほど。そういうのがあるから、風呂もないのか。こりゃ、街の中でも風呂はなさそう。
 っていうか、じゃぁ、石鹸とかないんじゃない?ああ、そうだ、そうだ、思い出した。江戸時代とか髪を洗うのに灰汁とか使ってたんだよね。灰はあったはず。
「桶よ出てこい、あ、これに火を燃やしてできた灰を入れてきてもらっていいかな?」
「灰?何に使うんだ?」
 首をかしげながらネウス君が桶に灰を入れて持ってきてくれた。そこにお湯を入れて灰汁を作る。
  うーんと。まずは見本を見せないと風呂の入り方もわからないよね。
「えーっと、女の子チーム集合!男の子チーム……ネウス君とドンタ君はあっちね。服脱いで、まずは1つめの酒樽にしばらく入って」
 女の子チームと、はい、おいで、おいで。モモちゃんは抱っこで入らないと沈んじゃうね。
「じゃ、服脱いで順番に1つ目の樽に入ります。えーっと、おばばとミーニャちゃんは私たちの後で入ってね」
 モモちゃんを抱っこして樽風呂に入る。みるみるお湯は真っ黒。うひぃ。でも、私と小さなモモちゃんだからこの程度で済んでるんだよなぁ。

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