魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 子供たちが早起きして働いているというのに何たる失態。
「疲れてたんですよね。ずっと歩いて来て。お兄ちゃんもまだ寝てるんですよ」
 ネウス君が?
 細くて栄養足りてないけれど、私よりもずっと体力がありそうなのに……。
 まさか……。
 ディラの剣をネウス君の近くに置いたけれど……。
 幽霊の本能にあらがえず、ネウス君を金縛りに合わせたとか?それで、ネウス君は安眠できずにまだ寝てる可能性が……。
 うひゃー、ごめん、ごめんよ!ネウス君っ!
 慌ててネウス君の元へと向かう。
 ネウス君は、寝相が悪いのか、昨日寝ていたところから少し離れた木の根元に丸まって寝ていた。
「ネウス君、大丈夫?」
 近づいて顔を覗き込む。
 あれ?
「ネウス君?」
 昨日、お風呂に入ったからかな?
 顔がぴかぴか。
 小麦色の肌に、茶褐色の髪の毛。眉毛がしゅっとりりしくてまつげが長い。
 なんか、ディラが金髪碧眼王子様みたいなイケメンとすれば、ネウス君は……シークみたいなイケメンになりそうな美少年なのでは?
 というか、なんか、たった一晩しかたってないのに、なんだか骨と皮ばかりで、顔もガリガリだったのに、まだ痩せてはいるけれど、骸骨っぽさがだいぶなくなった?
 と、その前に、ディラが金縛りしたなら注意しておかないと。
 どこだ?
 ん?姿が見えない……ぞ?
 怒られると思って雲隠れした?
 きょろきょろとあたりをみまわせども、ディラの姿も剣も見当たらない。
 ……逃げた?
 いや、自力で動けるわけないよね?
「まさかっ」
 盗賊か何かが出て、盗まれた?
 ど、ど、ど、どうしようっ!
 剣が盗まれちゃったら、盗まれちゃったら……。
 ん?
 んー?
 どうしよう?
 剣は、剣として使わない。
 移動するときに4キロ近い荷物がなくなる。
 幽霊がいなくなったことで、何か困るっけ?……人と出会えたから寂しくもなくなったし。
「別に、困らない?」
 という結論に達したところで、脳裏にディラの泣き顔が思い浮かんだ。

 ユキー捨てないで、ユキー。
 号泣。うぐっ。ぐぐ、分かった。分かったって。もう!
 ああ、幽霊なのになぁ。情が沸いちゃったかな。……そうだよね。幽霊とはいえ、この世界で助けてくれた恩人だもん。
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