魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
『大丈夫だよ、僕がユキを守るから!』
 ドンッと胸を叩くディラ。
 はい。言っていることだけはかっこいいけど、忘れてるよね。いろいろ。
『って、今の僕じゃ無理だったぁ!なんてことだ。ダメだ、ユキ!森へ行かせない。どうしても行くと言うなら、僕を倒してから』
 倒すも何も生きてないけどね。
 ……っていうか、ディラうるさい。……他の人にはディラの声が聞こえないんだから、ディラと言葉がかぶると、私だけが他の人の言葉を聞き逃したりするってさっきも言ったよね!あ、言ってない……けど、ちょっと黙っていてほしいんだけど。
「危険な獣とは、どういったものでしょうか?」
 おばばが首を横に振った。
「分からぬ……。ただ、街の外には獣がいて、魔法がない者は獣に襲われて生きてはいられないと……そう、教えられたんじゃ」
 ……そういう、ことか。
 魔法が使えないからできないの呪縛。
 森の中に入ると危険というのは、魔法が使えないから迷う、魔法が使えないから獣に襲われる……。と。魔法でなんでも解決できてしまうから、魔法が使えないと何もできないということにつながっている。具体的に何がどう危険かという問題ではない。魔法が使えないから危険だと……。
 魔法が使えないものは何もできないという思い込み。呪縛。
 生活に必要な火のおこし方すら分からないのだから……。
 魔法がないのが当たり前の世界に生きてきた私からすれば、魔法が使えないことは、森にあるかもしれない食料や水源確保をあきらめる理由になんてならない。
 ……とはいえ、実際に獣に襲われて殺されるのも困る……。
 熊なら音を鳴らしながら進むといいとか、猪は刺激しなければいいとか、なんらかの対策法がある。
 そう、熊を見たら死んだふりをするとかね。……でも、本当は死んだふりは悪手なのだとか。息の根を止めに襲われるらしい。逃げるなら、木の上。それも、熊が登れない……熊が手を回して手が重なる太さで、倒されない強度もある木を選んで登るのがいいらしい。
 ……という、危険な動物を危険じゃなく回避する方法も……何も分からないままか。

 おばばに話を聞いてから、森の入り口で食料を集めている子供たちの姿を見る。
「それ以上奥へ行っちゃだめだ!」
 と、お互いの姿を確認しながら土を掘り返したり木の葉を集めたりしている。
「それはお腹が痛くなるやつだ」
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