魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 飲むだけの水分は樹液で確保している。だけれどまずい。蒸留すれば水になるんじゃないだろうか。
 いや、樹液であることが彼らを生かしている可能性もある。まずいけれど栄養があるとか。……味だけを求めて生活スタイルを変えさせることは危険だ。
 味を求めるまえに、もっと十分な食料が必要だ。
 右を見れば荒野。荒野では、サボテンや砂ネズミがいる。だがどちらも希少のようだ。
 左を見れば森。木が生い茂っている。探せば食べられる植物も生き物もいそうだ。水場があれば魚とかも取れるかもしれない。
 食事が終わり、子供たちがそれぞれ自分のすることをし始めた。
「おばばに聞きたいことがあります」
「なんじゃ?」
「森が危険というのはどういうことですか?」
 おばばの正面に座って尋ねる。私の横にはディラが同じように座っている。
『どんなに危険でも、僕が何とかするよ!……って、ああ、だめだ、今の僕は無力だぁ!!』
 うるさい。ディラには話しかけてない。他の人にはディラの言葉が聞こえないんだから、同時にしゃべられても私が困る。
「見えるところならいいんじゃが、見えないところへ行ってしまえば帰ってこられなくなる」
 ん?遭難ってこと?
 遭難が危険ってこと?
「あの、見えない場所でも、毎日道を覚えて少しずつ遠くに行くとか……?」
 魔法的力が働いていて迷いの森とかだと駄目かもしれない。
「わしらは魔力がないからの……。道しるべの魔法も使えないんじゃ。迷ったら戻ってこられない」
 道しるべの魔法?
『大丈夫だよ。収納鞄に、魔法の地図が入ってるから。通った道が自動で記録されるやつだよ』
 へー、便利なものもあるね。カーナビみたいに使えるのかな。
 って違う!魔法に頼らない!魔法なんてなくたって、方位磁針を使うとか、太陽と時計で方角を見るとか、あ、時計ないな。木の年輪でも方角が分かるし……。
 魔法が使えないから、魔法が使えないから、また、それなの?

「迷わなければいいんですよね!だったら、ちょっと行ってきます!何か食料が見つかるかもしれない」
 すくりと立ち上がる。
「待つのじゃ、魔法がわしらは使えないから、危険な獣に出くわしても戦う術がない」
 うっ。それは困る。そりゃ魔法が使えなくても、猟師であれば鉄砲でやっつけたりできたりもするけど、あいにく私は猟師でも格闘家でもない。
< 64 / 132 >

この作品をシェア

pagetop