魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
『ワシをなんじゃと思っとる。地の精霊じゃと言ったろう?簡単なことじゃ。この木が根を張っている地面を揺らしてやればいいんじゃ』
 地面を揺らす?まさか?
 と、思った瞬間、ぐらりと立っている場所が揺れ始めた。
「ネウス君、落ちないように枝にしがみついて!」
 揺れているのはどうやら本当に木の生えているそこだけのようなので、私は慌てて木から離れる。
 グラグラと木が揺れ始め次第に大きく揺れていく。
 ボロボロというか、ボタボタというか、ザァァァというか、実が次々に落ちていく。
『どうじゃ』
「ネウス君、大丈夫?」
 揺れが収まりすぐに木を見上げる。
「ああ、うん。大丈夫だ。それより、あっという間に実が落ちたね。拾わないと」
 するすると降りてくるネウス君。
 ああ、よかった。
『じゃぁ、助けてやったお礼に魔力をもらおうかの』
 は?
 助けた?
 そりゃ、実は確かに落ちて助かったと言えば助かったと言えないこともないけれど。
 こちらから頼んだわけでもないし、ネウス君も私も危険な目にあったし。代わりに何らかの対価が必要なんてそもそも聞いてないし。
 ちょっと腹が立ったので、意地悪な気持ちが沸き上がってきた。
「好きなだけ私の魔力を差し上げます。足りなければどうぞ、ネウス君の魔力も持って行ってくれて構いません」
 というと、ノームじいちゃんは驚いた顔を見せた。
『随分気前がいいのぉ。じゃが、ワシはそんな強欲な精霊じゃないぞ。ほんのちょっと。そうじゃのぉ、指先から水を数滴出す程度の小さな魔力で十分じゃ』
 おや?意外と謙虚。

 意地悪を言ったことを反省する。ごめん、ノームじいちゃん。
『って、なんじゃ、人間、魔力が枯渇しておるではないか!うおお、あっちの人間も魔力がない。ほんの小さな魔力さえも持っておらぬとは、どういうことじゃ、好きなだけ持って行けと言ったのに、ワシ、ワシ……』
 手の平の上で両手両ひざをついてがっかりするノームじいちゃん。
「あの、私たち魔力なしなので。ごめんなさい。えーっと、魔力を使った分を回復したいのなら、……これをどうぞ」
 申し訳なくなって、収納鞄から魔力回復薬を取り出す。
 うん。瓶の方が大きいなぁ。
『これは、人間の飲み物じゃないか。ワシらは飲めないのも知らんのか』
 飲めないかな?精霊には無理かな?
「ちょっと待ってください」
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