契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「コンペの後くらいから少しおかしかったですよね。まさかそんなことになっているなんて思いませんでしたけど」

 杉村は美冬は企画書の再作成に集中しているだけかと思っていたのだ。

「いつから? どこの誰?」
「えーと……」
「吐け」
 杉村がずいっと美冬に迫る。

「ごめんなさーい、私がやりましたぁ」
「いいから、ふざけてないで教えて」

「槙野さん……知ってる、よね?」
「槙野……?」

 石丸は全く分からないようだった。杉村の方は心当たりはあれど、それで合っているのかという微妙な表情だ。

「私が知っている槙野さんという方は、グローバル・キャピタル・パートナーズの方なんですけど」

「あ、それ!」
 美冬が人差し指を立ててそれっ!と宙を指さす。

「可愛いけど、詳細にお聞きしたいですね」
 一目惚れされた、なんて言ってもいいんだろうか?

 その時、林が少し焦った様子で美冬たちの方に向かってくるのが見える。
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