契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 綾奈の瞳がキラキラと国東の方を見ていた。
 国東はゾッとしたような顔になる。
「色々詳しいお話を聞かせてくださる?」

 国東は大福に……いや、綾奈に拉致された。悲鳴が尾を引いている。

「成仏しろ国東」
 槙野はその姿にそっと両手を合わせた。

「死んではないでしょ」
 美冬は国東の姿を見守りながら、さらりと槙野に言う。

 会場はもう演し物は終わりか、とばかりに落ち着いた雰囲気を取り戻していた。

 片倉が笑って槙野と美冬に近寄ってくる。
「派手だな、槙野」
「こんなつもりじゃなかったのに」

「いや、運営会社の社長は非常に喜んでいらっしゃった。よかったよ。改めておめでとう。おめでとうございます、美冬さん」

 片倉の隣で浅緋も嬉しそうな顔をしていた。
「槙野さんには本当にお世話になったもの。お幸せそうで嬉しいわ」

 浅緋は両手の指を絡めて、顔の前できゅうっと握っている。先程の告白にいたく感動したようだった。

「うん。幸せだよ」

 槙野はそんな浅緋と、浅緋を微笑ましげに見つめている片倉にも、幸せだと胸を張って言えることをとても嬉しく思った。
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