契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「ちょっと、美冬に話があるから外す」
 槙野は美冬の手を繋いで、二人の前を離れてガーデンの方に移動する。

 ガーデンはレストラン階に緑が配置されていて、ビルの中のオアシスだ。
 夜はグリーンにライトアップされているのが美しくて良い雰囲気だった。

「予定外のことが起きてしまった」
「すごく恥ずかしかったわ」
「悪かったな」
「でも嬉しかったの」

 きゅっと槙野の手を握り返す美冬だ。
「本当よ」
「契約だからか?」
 改めて、槙野は確認する。
 もうすれ違うのは御免だ。

 美冬は首を横に振った。
「最初はそうだったの。でも祐輔はとてもいい人だもの。面倒見が良くて、優しくて強くて、仕事もできて見直すことだらけだった。最初は会社のための契約のつもりだったけど、一緒にいる時間が長くなるほどそんなものには収まらなくなったわ」

「俺もだよ。最初は契約だって思ってた。けれど美冬はいつも一生懸命だし、意外なことばかりして可愛くて目が離せない。契約書は有効だけれど、契約前提の結婚だとは思わないでほしい。俺は美冬を大事にしたくて……愛してる」

 契約ありきの結婚の予定だった。
 けれど今は違う。
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