契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 デザイン部に美冬が顔を出すと、スタッフがみんなわぁっ!と喜ぶ。
「社長! ご馳走様です!」
「頑張れる! モチベーション上がります!」

 そこには、共同開発しているエス・ケイ・アールのメンバーもいた。
「あら、ミーティングの日だった? 足りたかしら?」

 ケータリングは少し多めには頼んだけれど、他にもメンバーがいたのなら、充分に行き渡ったかが心配になった美冬である。

 足りたかどうかと尋ねた美冬に一人の女性が頭を下げる。
「大丈夫です。すみません。急にお邪魔したのに」

 ──ん?どなたかしら?

「えっと……木崎綾奈(きさきあやな)です」
 美冬は二度見した。不躾(ぶしつけ)かと思ったけど、じっと見つめてしまった。

 

いただきます?
 ふっくらとしていたはずなのに、その面影もなく、美冬の目の前にいるのはすらりとしている和風美人さんだ。

 綾奈はそんな美冬に照れた様子を見せる。
「そんなに見ないで頂きたいわ……恥ずかしい」
「綾奈さん、失礼ですけど、お痩せになった?」
< 255 / 325 >

この作品をシェア

pagetop