契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 そんな美冬を抱きしめるのは自分だけなのだという幸せ。

──自分だけが美冬を守ることができる。
 それは槙野の中ではとても価値のあることだった。

 ◇◇◇

 京都駅に程近い大きな寺院の庭にランウェイが設置されていた。昨日までは別のブランドがここでファッションショーを行っていたそうだが、明日はミルヴェイユがここでファッションショーをする。

 ランウェイ以外の装飾は一旦全て外され、ミルヴェイユがデザインしたものに変えられていく。

 美冬はそれをとても感慨深い気持ちで見ていた。
 庭には控室まで準備されていてその中に衣装が運び込まれている。

 今回のオファーでコラボ商品も出す、と言った美冬に木崎社長も、綾奈も涙を流さんばかりに喜んでくれた。

「けれど、こんな風に注目されたのはコラボがあったからですもん。それは当然ですよね」
「あんなトラブルがあって、うちは訴えられてもおかしくはなかったのに。お返しできない恩を受けたわ」

 一人ではできないことも、誰かと協力すればできることもある。
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