契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 それまではミルヴェイユは孤高だった。
 けれど、コンペに参加し、出資には至らなかったけれど、業務提携することでこんなファッションショーに呼んでもらうことができた。

 そして、今はパターンオーダーという他の企画も話を進めている。

 素敵な出会いがなければできなかったことだ。
 今までと同じミルヴェイユではできなかったこと。美冬だからできたことだ。

「お! すげー! いいじゃん!」
 バックパックにパーカー、ジャージ姿でバックヤードパス用のシールを太もものところに貼った槙野が美冬に声を掛けにきた。

「祐輔! いつ来たの?」
「今だよ。スタッフに入れてもらった」

 ぺったりと貼ってあるシールはまるでデザインされているようだ。

「槙野さん、そんな姿すると若く見えますね」
 にっこり笑ってそう言った石丸に槙野も笑顔を返す。
「見える、とはなかなか言ってくれるよな」

「それでもそのジャージとんでもない金額しますよね。その辺のやつじゃないでしょう?」
「金額は気にしてないが、行きつけの店で勧められたんだ」
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