契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「あの場にいた木崎さんという人なんだがな、エス・ケイ・アールと言う会社を知っているか?」

 そう聞かれて美冬は即答する。
「知ってます!」
 ミルヴェイユとコンセプトは違うけれど、大手のアパレル企業だ。

「木崎さんはエス・ケイ・アールの社長だ。うちはあまりそっち方面に詳しくないんで、この前はアドバイザーとして来てもらっていた」

 だからいろいろ詳しかったのだ。
 ミルヴェイユが高級路線なら、エス・ケイ・アールはいわゆるファストファッションを扱うブランドである。

『ケイエム』というそのブランドはファッションビルや、ショッピングモールでは必ずと言っていいほど見かける。

「あっちはお前とは真逆だな。彼女自身は一流ブランドに身を包んで、経営に関してはアグレッシブだ」
 確かに美冬は自社ブランドに身を包み、経営に関しては保守的だ。

「ミルヴェイユ自体は業績はそれほど悪くない。この現状でそれはすごいことだ。けれど実際右肩に下がってきていることも間違いはない。原因は販路だ。窓口であるデパート全体での業績が下がればその影響を受けざるを得ない」
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