契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
『家計負担の合意
結婚生活における合意
お互いの親族との付き合いの合意』

 確かにはっきりさせておくことで、トラブルが回避できるような内容になっている。

『契約の見直しについて』
 ふんふん……と美冬は書類に目を走らせてゆく。契約については1年ごとに見直すという文言もあった。

 確かに刻々と変化してゆく状況の中、見直しは大事だ。
 どれも納得できる内容である。

『離婚の際の条件の合意』

 それを見たとき美冬はぎくんとした。

 ──こんなことまで考えておかなくてはいけないのね。

 契約上の関係なのだと思い知らされる。
「どうした?」
「あ……いえ、離婚の際の条件とかまで決めておくものなんですね」 

「どうなるかなんて分からないからな。揉めそうなことは全部文書で契約上明らかにするのがメリットだろう」
 槙野にはさらりと返される。

 単にふざけたような人ではなくて、冷静なビジネスマンとしての姿が美冬には見えた気がした。
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