契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 それを見た槙野はカバンから封筒を出した。
 中から書類を出して美冬に広げてその書類をテーブルに滑らせたのである。

『婚姻届』
 すでに槙野が記入するべきところは記入してあった。

「渡しておく。近々美冬のご両親にもご挨拶に行こうと思うが構わないか」
「お願いします」

「おじいさんのところも、か?」
 槙野はにっ、と笑った。
「当然よ。おじいちゃんのところにも行ってもらうわ」
 美冬も笑って返す。

 この高飛車高圧的大型犬が祖父とぶつかるとどうなるのか、美冬は見てみたかった。
(おじいちゃんは手強いわよ。吠え面かくといいわ)
 くふふっと思わず笑いが漏れる。

「お前っ、なにか企んでないか!?」
 野生の勘かしらね。勘がいいわ。
 美冬はさらに、にっこり笑ったのである。

「気のせいじゃないかしらね?」
「お前のその笑顔には嫌な予感しかしないんだが……」

 一緒に食事をしながら、簡単な日程の打ち合わせをした。
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