契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 それで美冬は分かったことがいくつかある。
 まず、槙野はとんでもなく忙しい。

 平日に予定を合わせるのはかなり困難だということが分かった。

 美冬の家への挨拶は、再来週の日曜日に予定を組む。
 祖父への挨拶には、平日病院の面会時間中に仕事を抜けてくれるという。

「槙野さんのところにも行かなきゃ」
「そうだな……」

「私、結婚式は必ずしたいの」
「ああ、アパレルだものな。もしかしてドレスは自社製か?」

「もちろんよ。それが夢だもの」
「そうか。ではそれは必須だな」

 話しながら食事をしていくのだが、食べる速さが速い槙野ではあるけれど、意外と仕草やカトラリーの扱いも含めて綺麗な食べ方なのである。

 美冬は食事については両親にかなり厳しく躾けられた。その分他人の食事の仕方についてもつい目がいってしまう。

 いくら身に着けているものが高級であっても食べ方に品がないことには美冬は興ざめするのだが、そういった意味では槙野に対して醒めることはなかった。
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