契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 美冬の夢にも付き合ってくれて、一蹴することはなく優先してくれて美冬の都合に合わせてくれるという。

 仕事が忙しくて、思いやりもあって、一緒に食事をすることも苦痛はなく、都合を合わせてくれる。
 悪くないんではないかと美冬は思い始めていた。

「ああ、そういえば、今は一人暮らしか?」
「ええ」

「じゃあ、早いうちに引っ越してこい。手配はするから。とは言ってもどんなところか分からないか。今日見に来るか?」
「それ、そんなに急がなきゃいけない事ですか?」

「いろんな家庭があるだろうが、俺は夫婦は一緒に過ごすべきだと思う」

 言っていることは分かるけれど、心の準備の問題だ。
 そんな急に来るかといわれて、行けるわけもない。

 まだ会って数回の……それは結婚するとかは決めた人なんだけど、それでも初対面に近い男性の家に上がり込むなんて、美冬にはできない。

 ──さっきのは撤回。マイペースだし俺様だわ。
< 48 / 325 >

この作品をシェア

pagetop