雨降り王子は、触りたい。
だからイライラする必要なんてない。
わかってるのに…どうしようもないくらい、ずっと、苦しかったんだ。
リュックのポケットからワイヤレスイヤホンを取り出し、耳に装着する。
流すプレイリストを選んでいると。
《まもなく、電車が参ります───》
響いたアナウンスが、うっすらと聞こえる。
だけど次来るのは、乗る電車じゃない。
俺は、待合室の椅子に座った。
チカが優しい、といえば。
小学生からの仲だからか、俺には特に優しい気がする。