雨降り王子は、触りたい。



「なんで止まんの」

「このまま進んじゃダメだからっ」



ダメに決まってる。
三咲の涙、見られるのはダメだ。



「さっきの奴、追いかけてくるかもしれないだろ」



三咲は再び進もうとするけれど、私は頑なに動かない。



「きてないからっ」

「…そうだとしても。あんな奴と同じ建物にいるなんて、無理。」

「なっ」

「あんたを遠くに連れて行く」

「も、もう大丈夫だから!」



一向に進まない私に、痺れを切らした三咲はようやく振り返った。
しかし、こちらを向いた三咲の瞳からは、ひっきりなしに涙が零れていて。

─────ズキン。

心臓が、締め付けられる。


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