雨降り王子は、触りたい。



「あっぶねー…」



三咲の不服そうな顔がこちらに向く。

もちろんその目には涙が溜まっていて。



「……っ」



なんだか私も、鼻の奥がツンとなった。



「1人で歩けるから……」



眉を下げて、三咲の手を振り解くと。



「あー…もう」



三咲の呆れたような溜息が鼓膜を揺らす。

そして─────カチャリ。

なぜか三咲はメガネを外して。



「…っ」



三咲の素顔が露わになった。

久しぶりに見るメガネを掛けていない三咲は、相変わらず作り物のように整った顔をしていて、思わず釘付けになる。


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