極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
『そんなにあの子が気に入ったのか』
『はい』

 父は書斎の椅子から立ちあがり、俺の前に来て肩をポンポンと叩いた。
 そのころはまだ父のほうがずっと背が高くて、俺は父を睨みつけるように見上げた。

『そんな顔をしなくてもいい。まあ、どこの馬の骨か知れないような者ならさすがに私も反対したが、鞠香ちゃんは花野宮家の娘だ』
『花野宮家』
『ああ。歴史をたどれば元華族のご令嬢だ。鞠香ちゃんのお父上は、今はヨーロッパを主とした貿易関係の会社を経営しておられる』

 では、問題なく婚約できるということだろうか。

『ただし』

 ほっとしかけた俺に父が冷静な声をかけた。

『これからもっと条件のいい花嫁候補が次々と現れるだろう。おまえが本当に彼女を妻に迎えたいのなら、おまえ自身がその気持ちを貫きとおせる力を身につけなければならない』
『……わかっています』

 父の言うことはもっともだった。
『日本の海運王』とまで呼びならされている海堂家の後継者。現実問題として、俺はいやでもその立場で生きていかなければならないのだ。
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