極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「先ほどドクターに手当てしていただきましたから、もうなんともありません。今回の件では、クルーの皆様もわたしを助けるために尽力してくださったと聞きました。本当にありがとうございました」

 感謝の気持ちを表現したくて日本人流に深く頭を下げる。
 船長さんも同じように頭を下げてくれた。少しぎこちない動きだが、わたしの気持ちを受け取って返してくれたというジェスチャーがうれしい。

「ご無事でよかった。被疑者たちはニューヨークに到着したら連邦捜査局に引き渡されます。それまでは船内の一室で拘束します。彼らがこの船内であなたに危害を加えることはできませんので、ご安心ください」
「拘束……できるのですか?」

 そういえばいくら身元確認の厳しいクルーズ船でも、長期間の航海になると犯罪も起こるだろう。今回みたいな大ごとじゃなくても、盗難とか喧嘩とか……。海の上ではどうするのかしら。
 翔一郎さんがわたしの手を握って優しくなでる。そして、日本語に戻って説明してくれた。
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