クローバー
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俺が東雲を流星と呼ぶくらいには仲が深まり、火蓮に馴染んできた頃


「奏多さーん!」


耳障りな高い声の女が俺を呼ぶ。


「どうしたの?佐々木さん?」


「もう!りかって読んでって言ったでしょ?」


強い香水の匂いが鼻につく。


「そうだっけ?それより流星が呼んでたよ。」


「えっ!早く行かなきゃ!奏多さんまた後で!」


駆け足で2階へと上がって行く姿を冷たい目で眺める。


佐々木りか《ささき りか》。
3日前、流星がレイプされそうになった所を助けて連れてきた。


流星の拾い癖はいつもの事だが、今回はいつもと違った。佐々木の何処に惹かれたのかあいつを姫にしたいと言い出した。


どうして、俺の周りは親父といい、流星といいこうも女の趣味が悪い奴ばかりなのか。


ただでさえ、倉庫に女が居るのだけでも嫌なのに、姫になんてされちゃこっちの身がもたない。


やっと見つけた俺の居場所。
ただ、守りたかった。それだけだったんだ。


佐々木が来て1週間。俺は聞いしまった。


「いい?私は姫。貴方たちは下っ端。要するに貴方たちは私の奴隷なの。だから今後一切私に口答えするのはやめて!もし口答えしたら……流星さんに虐められたって報告するから!!」


ふーん。これがあいつの本性ね。
随分と意地悪いことしてくれるじゃん。


下っ端だろうと、何だろうと俺たちの仲間には変わりない。


それをお前なんかが侮辱する事は許さない。


佐々木。あんたのその男を手玉にとって転がす策士なとこ嫌いじゃないよ?


ただし、その化けの皮が剥がれてくれたらの話だけど。























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