天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「な、なにするんですか。離してください!」

 慌ててたくましい胸を押し距離を取ると、「パリでは抱きしめさせてくれたのに」と不満そうな表情で見つめられた。

「ここは日本だし、誰かに見られたら勘違いされるじゃないですかっ」

 しかもお互いの職場である空港のターミナルビルなのに。

「勘違いされてもいい。俺は里帆が好きだと何度も言ってるだろ?」
「またそうやって……っ」

 からかわないでくださいと言おうとすると、低い声で遮られた。

「俺は本気で君が好きだ」

 真剣な表情に、鼓動が速くなる。

 情熱的な愛の言葉を嬉しいと感じる自分がいた。
 でもそれ以上の不安が胸に押し寄せる。

「申し訳ないですけど、私は翔さんとお付き合いする気はありません」
「それは、俺がパイロットだから?」

 その質問に「そうです」と首を縦に振る。

 もう二度とパイロットとは付き合いたくない。
 それが、誰であっても。

 私ははっきりと拒絶したのに、翔さんは「よかった」と微笑んだ。

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