天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 安堵する私とは対照的に、翔さんの整った顔に不満げな表情が浮かんだ。

「そんなことをわざわざ聞くってことは、里帆の元恋人はOJAのパイロットなのか?」

 そう言われ、ぎくっと背筋が強張る。

「いえっ、そういうわけじゃ!」

 焦りながら否定すると、「そうか」と彼は表情を緩めた。

「どうして翔さんは、自分がパイロットだってことを隠していたんですか?」
「それは、元カレと同じ職業だと知られたら拒絶されるかもしれないと思ったんだ。でも、なにも言わないまま君を抱いたのは卑怯だった。悪かった」

 潔く謝罪され、どきっとしてしまった。

 この人は自信満々に微笑んでいるときも、真剣な表情で操縦桿を握っているときも、こうやって頭を下げているときでさえ、ずるいくらいかっこいい。

 私が黙り込んでいると、翔さんがこちらに近づいた。

「日本に帰ってからもずっと里帆のことを考えてた」

 私の腰を抱き寄せると、耳もとでそうささやく。

 思わず「ひぇっ」と小さな悲鳴が漏れた。

< 103 / 238 >

この作品をシェア

pagetop