天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「うふふ、驚きすぎですよ。パイロットと結婚できる私がそんなにうらやましいんですか?」

 驚く同僚たちに安本は小首をかしげて笑う。
 離れた場所から見ていても、優越感に満ちた表情で周りを見下しているのがわかった。

 彼女にとってはパイロットの妻というステータスがなによりも重要なんだろう。

「くだらない」と吐き捨てると、隣にいた芦沢が苦笑した。

「ま、残念だけどパイロットと結婚したくてCAを目指したって子も、少なからずいますからね。それにしても相手は志田くんかぁ。意外だな」

 芦沢のつぶやきに、たしかにとうなずく。

 パイロットの志田とは何度か話をしたことがある。

 彼は今年訓練生から副機長に昇格したばかりだった。
 担当機種が違うため一緒にフライトしたことはないけれど、悪い評判はない真面目な男だ。

 どちらかというと控えめで、落ち着いていて、勤務態度もいい。

 そんな彼とは対照的に、CAの安本はあまりいい印象がなかった。
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