天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「本当ですよ。あの真面目な志田くんがのろけるなんて意外だったからよく覚えてる。パイロットを目指す自分を応援してくれているって言ってたけど、安本と結婚するってことは別れちゃったんでしょうね」

 それを聞いていたCAが顔をしかめた。

「きっと、安本さんが強引に誘って寝取ったんですよ。ステイ先のホテルでしつこく志田さんに声をかけるところを見たことあるし」
「安本さん、前からパイロットと結婚したいって言ってましたもんね」

 その言葉を聞きながら、パリでひとり川を眺める里帆の姿を思い出して胸が痛んだ。






 その日の午後。東京・福岡間の往復のフライトを終えた俺は、里帆に連絡するためにスマホを取り出した。

 彼女は午前中にタワーで管制業務をしていたから、今日は十五時すぎには仕事が終わっているはずだ。

 案の定、彼女はすぐに電話に出てくれた。

『もしもし』とやわらかい声が耳を打ち、複雑な気持ちになる。

「里帆、今どこにいる?」
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