天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
『ええと。さっき業務を終えたので、帰る前にちょっとターミナルビルの中で休憩していました』

 里帆と会話をしながら迷いなく足を進める。

 向かう先はたくさんの人が行きかう出発ロビー。
 そこにベンチに座る里帆の姿を見つけて、口元を緩めた。

「里帆」

 スマホ越しではなく直接声をかけると、里帆の肩がぴくんと跳ねた。

「翔さんっ?」

 慌てて振り返りこちらを見上げる。

「ターミナルビルの中にいるとしか言わなかったのに、どうして」
「なんとなく、里帆がここにいる気がした」
「なんとなくでこんな広いビルの中から見つけてしまうなんて。勘がよすぎませんか」

 照れ隠しなのか顔をしかめる里帆を見て、くすりと笑う。

「言っただろ。俺は自分の運の強さには自信があるって」

 パリでかわした言葉を繰り返すと、「たしかに言ってましたね」と里帆が噴き出した。

「天才と言われるほどの操縦技術を持つパイロットでかっこよくて運まで強いなんて。翔さんは完璧すぎてずるいです」

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