天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「重たいねぇ。その重さに耐えられなくなって、私は早々にリタイアすることにしたんだけどね」

 くすくすと笑いながら、堤機長はご機嫌にお酒を飲む。

「堤機長は退職後、なにをされるんですか?」
「私は根っからの飛行機好きだから、退職したら航空無線を聞きながらのんびりお酒を飲みたいんだ」

 予想外の言葉に、パイロットたちが破顔する。

「退職しても航空無線を聞くんですか?」
「管制官の子気味いい指示を聞きながら、頭の中で空港の周りを飛ぶ旅客機の位置をイメージするのは楽しいじゃないか。無線の指示だけで、あんな大きな機体が整然と並んで空に飛び立ったり着陸したりするんだよ。しかも世界中から飛んでくるクセの強いパイロットたちを従わせるなんて、まるで猛獣使いのようで痛快だ」

 堤機長の話を聞いて、隣に座っていた芦沢がうなずく。

「たしかに。的確な管制官の指示は聞いていて気持ちがいいですよね」
< 134 / 238 >

この作品をシェア

pagetop