天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 不安げな表情で見つめられ、思わず腕を伸ばし彼女の肩を抱き寄せる。

 そのとき、「矢崎機長。お疲れ様です……」と声をかけられた。

 店の前まで来た志田が、俺に気づいて挨拶をする。
 そのあとで俺が里帆を抱き寄せているのを見て、言葉を詰まらせた。

「里帆……?」

 志田に名前を呼ばれ、里帆の細い肩がびくりと震えた。

「え、この人誰ですか?」

 不思議そうに首をかしげる安本を無視して、志田が問いかける。

「里帆。どうしてここに」

 里帆が口を開く前に、俺が答える。

「俺が彼女を呼んだんだ」
「矢崎機長が?」
「航空無線好きの堤機長と管制官の里帆は話が合うと思ってね」

 そう説明すると、志田の表情が険しくなった。

「里帆と呼ぶなんて、ずいぶん親しいんですね。……もしかして、俺と付き合っているときから、矢崎機長とも?」

 疑いをかけられ、里帆が驚いたように顔を上げる。
 そんな里帆を志田はするどい目で睨んでいた。

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