天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「一度の浮気ですぐに別れようと言うなんて、おかしいと思っていたんだ。里帆にも俺以外に男がいたからあんなにあっさり別れたんだな」
「違う! 翔さんとはなにも……」
「だって、大学時代から支えてきてくれた里帆が、たった一度の浮気で俺を捨てるなんておかしいだろ」

 その志田の身勝手な言葉を聞いて、怒りが込み上げてきた。

「たった一度の浮気?」

 低い声で言うと、志田がおびえたように一歩後ずさった。

「その一度で、どれだけ彼女が傷ついたか、わかっているのか? あんなに卑怯な方法で彼女の心を踏みにじって、よくもそんなことが言えるな」
「ど、どういう意味ですか」
「志田は、里帆がどうして君の浮気に気づいたか、知らないんだな」

 憐れみを込めて言うと、志田の表情に戸惑いが浮かぶ。

「どうしてって……」
「君のスマホから里帆に電話がかかってきたんだよ。君がその女と浮気をしている声を、里帆に聞かせるために」

 志田が目を見開き「え、誰がそんなことを」と取り乱す。

「ひとりしかいないだろ」
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